「それでは皆様、お手を拝借…」
パーティーやイベントでの最後に、手拍子で会を締めくくることがありますね。
この伝統的な行為を「手締め」といい、日本では古くから続く慣習です。
現在では、ビジネスの場でも重要なエチケットの一つとされています。
「一本締め」「一丁締め」「三本締め」という三種類の手締めがありますが、それぞれに特有の使い方と意味があります。
これらの手締めの技術を身につけて、あなたも活用してみてはいかがでしょうか?
◇日本の手締めの伝統について
手締めは、日本に古くから伝わる慣習で、何事も無事に完了したことを祝い、主催者が参加者や支援者に感謝の意を示す行為です。
この習慣では、参加者全員が掛け声とともに手拍子を打ち、イベントの終了を共に祝います。
特に関西地方では「手打ち」とも呼ばれ、広く行われています。
手締めは結婚式や葬式、祭り、公式な式典、宴会だけでなく、ビジネスミーティングや株主総会でも行われ、地域によっては葬儀で用いられることもあります。
この行為の名称は、「手を打つことで事を締めくくる」という意味から来ています。
また、手締めの起源は日本の神話にまでさかのぼります。
大国主命が天照大神から出雲の国づくりを命じられた際、その任務を息子の事代主神に伝え、柏手を打って応じたという逸話がその由来とされています。
◇一本締めの実施方法
1、司会者または代表者が「それでは皆様、お手を拝借…」と始めの呼びかけを行う。
2、その後、「いよぉ~」と声を掛けて会場を盛り上げる。
3、全参加者が「パパパン、パパパン、パパパン、パン!」とリズムよく10回手を叩く。
4、手締めが終わると、司会者または代表者が「皆様、ありがとうございました」と礼を言い、感謝の意を表す。
5、参加者も拍手で応え、軽く会釈を交わす。
一本締めはその用途が広く、多くの場面で活用される手法です。
手を10回叩くことには特別な意味があります。
9回だと「苦(く)」を連想させることから、10回目に「苦」を払拭し、「すべてが円滑に終わる」という良い意味を持たせています。
このように、一本締めは昔から吉事や重要なイベントにおいて縁起を担ぐために用いられ、江戸時代から人々に親しまれている伝統的な風習です。
◇一丁締めの進行方法とその特徴
1、司会者や代表者が「それでは皆様、お手を拝借…」と会の締めの始まりを告げる。
2、続いて「いよぉ~」と掛け声を上げる。
3、参加者全員で「パン!」と一度だけ手を叩く。
4、司会者や代表者が「ありがとうございました」と感謝の言葉を述べる。
5、場の雰囲気によっては、終了後の拍手を省略することもある。
一丁締めは、そのシンプルさから一本締めと混同されることがありますが、実際には手拍子を一度だけ行うという点が大きな特徴です。
終了後の拍手をしばしば省略するため、静かで簡潔な締めくくりが求められる場面に適しています。
一丁締めは、居酒屋での宴会や小規模な集まり、閉店間近の店舗など、カジュアルなシーンで好んで用いられます。
また、地域によっては「関東一本締め」とも呼ばれるため、異なる地域からの参加者がいる場合は、「今回は手を一回だけ叩く『イヨーオ!ポン!』で行います」と事前に説明することが有効です。
このような配慮により、手締めを通じてのコミュニケーションがスムーズに進むことが期待できます。
◇三本締めの進行方法とその意義
三本締めは、一本締めを基にした手締めの形式で、一回のセッションを三回繰り返し、各回に特定の掛け声を入れることで行われる長い手締めです。
1、司会者や代表者が「それでは皆様、お手を拝借…」と会の締めの開始を告げる。
2、続いて「いよぉ~」と掛け声をかける。
3、参加者全員が「パパパン、パパパン、パパパン、パン!」とリズムよく手を10回叩く。
4、「いよっ!」という合いの手で間を繋ぐ。
5、再び「パパパン、パパパン、パパパン、パン!」と手を10回叩く。
6、「もう一丁!」と次の合いの手で続ける。
7、最後にもう一度「パパパン、パパパン、パパパン、パン!」と手を10回叩く。
8、終了後には司会者や代表者が「皆様、ありがとうございました」と感謝の言葉を述べる。
9、参加者は拍手をして感謝の意を表し、軽く会釈を交わす。
三本締めはその手拍子の豊かさと実施回数の多さから、大規模な祝賀会や特別なイベントに適しています。
結婚式や新年会、忘年会、ビジネスでの大きなプロジェクト完了の祝いなど、様々な場面で活用されています。
実施する際は、専用の会場を用意し、他の参加者に迷惑がかからないよう配慮することがマナーとされています。
このように三本締めは、イベントの重要性や場の盛り上がりを高めるために選ばれる手締めです。
◇まとめ
「一本締め」「一丁締め」「三本締め」というのは、日本の伝統的なイベントや会合の締めくくりに用いられる手法で、これらは総称して「手締め」と呼ばれています。
長い間、日本のさまざまな場で親しまれてきた風習です。
現代でも、ビジネスシーンを含む多くの社会的な場で重宝され、社会人として必須のマナーの一つとされています。
この記事が、もしあなたが会合やイベントの最後を締める役割を任された時に、役立つ情報を提供できればと思います。