天の川は、星々が作り出す幻想的な風景です。
この天の川を観察するための最適な時期や時間、さらには撮影方法について解説します。
天の川と聞くと、七夕の夢のような情景が思い浮かぶかもしれませんが、実は一年中観察することができるのです。
しかし、現代都市の明るさが星空を見づらくしています。
この記事では、天の川がいちばん美しく見える季節や観察に最適な条件に焦点を当てています。
今年こそ、天の川を目の前に見たいと思っている方々に、最良の観察方向や場所を紹介しましょう。
■天の川観測の年間ベストタイミング
天の川は実は年中いつでも観測可能ですが、日本のような都市部では明るさのために常に見ることは難しいです。
特定の季節、特に夏から秋にかけては天の川がよりはっきりと見えることがあります。
七夕の時期は特におすすめです。これは夏の天の川が、冬に比べて明るく見えるためです。
七夕は現在では7月7日とされていますが、天の川が見やすくなるのは旧暦の7月7日、新暦で言うと8月中旬から下旬の期間です。
この時期に観測を予定すると良いでしょう。
■美しい天の川観測のための条件
理論上、天の川は年中観測できますが、その美しさを存分に楽しむためにはいくつかの条件が必要です。
最もクリアに見えるのは、前述のように旧暦の七夕期間、すなわち8月中旬から下旬です。
満月の夜に観測を計画する方もいますが、月明かりが強いと天の川がぼやけてしまうため、お勧めできません。
新月の時期が観測には最も適しています。
観測をする際は、観測方角や地点、時間帯も大切です。
これらについては次のセクションで詳しく説明します。
■天の川を見つけるための方角の決め方
天の川は、他の星座と同じように空の中で位置が変わるため、いつも同じ方向に見えるわけではありません。
そのため、天の川を観察する際は、その時期に最適な方向を事前に調べておくことが大切です。
特に、旧暦の七夕の時期、新暦で言う8月中旬から下旬は、天の川観測に適しているとされています。
この期間は、南方向を見ると良いでしょう。
観測のコツとして、夏の大三角を形成するベガ(こと座)、アルタイル(わし座)、デネブ(はくちょう座)を見つけると、これらの星の間に天の川が流れているのが分かります。
また、天の川は東から昇り、徐々に南へ移動するので、8月よりも前の7月などに観測する場合は、東方向に注目すると良いでしょう。
■天の川を観測するのに最適な場所は?
天の川を含む星空観測では、人工の光を避けることが重要です。
都市部では、ネオンや街灯などが空を明るくして星を見にくくします。
高層ビルなどが視界を遮ることも観測の障害となります。
このため、天の川を観測する際は、都市部から離れた山や野原、農村地帯などの暗い場所が適しています。
こうした場所では、光が遮られ、視界も広がるため、星を探しやすくなります。
海岸も視界が広くて光が少ない場所ですが、海からの水蒸気で空が霞むことがあるため、最適とは言えません。
星空観測には、内陸部の暗く視界が広い場所を選ぶことをお勧めします。
■天の川を観察するのに最適な時間
肉眼で天の川を観察すると、それは白い霧のように見えることが多いです。
明るい日中ではほとんど見えないため、太陽が沈んで暗くなった後の時間が観察に適しています。
特に夏の間は日没が遅いので、18時から19時では空が明るすぎることがあります。
そのため、20時から21時の時間帯が観察には最も良いとされます。
21時以降でも天の川の観察は可能ですが、遅い時間は翌日のスケジュールや、特に小さい子どもを連れている場合の安全面を考慮する必要があります。
21時前後を観察の目安にすると良いでしょう。
■天の川の撮影方法
最新のデジタルカメラの性能の向上により、天の川の撮影は比較的容易になっています。
しかし、より鮮明な写真を撮りたい場合は、デジタル一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラの使用が推奨されます。
撮影する際の条件には、前に述べたような適切な場所、時間、方向が重要です。
撮影のポイントは、高いISO感度の設定と長時間露光です。
ISO感度はカメラセンサーの光感度を表す値で、通常は100が基本値となります。
ISO感度を高めると感度が上がりますが、あまりに高いと画像にノイズが発生する可能性があるため、適切な中間値(例えば3200や6400)での撮影が望ましいです。
手ぶれを防ぐために三脚を使用してカメラを固定し、撮影すると、より鮮明な写真が得られます。
また、天の川は広範囲に広がっているため、広角レンズを使用することで、より広い範囲を写すことができます。
■天の川観測に最適なアイテム
天の川観測において役立つアイテムは以下の通りです。
●双眼鏡
天の川や夏の大三角形の探索には、双眼鏡が大変便利です。
双眼鏡を使うことで、星座や月などをより明瞭に見ることができ、観測の楽しさが一層増します。
●星座ガイドブック
夜空を眺めていて「この星は何という名前だろう?」と思ったときに役立つのが星座ガイドブックです。
●ヘッドランプや懐中電灯
暗い場所での移動は危険を伴うため、ヘッドランプや懐中電灯を持っていくことが重要です。
●ピクニックマット
天体観測時にピクニックマットがあれば、寝転びながらリラックスして観測ができます。
●防寒衣料
夏であっても山間部や郊外では夜間に気温が下がることがあります。
防寒のための軽いジャケットや上着を用意しておくと安心です。
●軽食
長時間観測をする際は、近くに飲食店がないことが多いので、小腹が空いたときのためにスナックやチョコレートなどを持っていくと便利です。
■まとめ
天の川は年間を通じて観察することができますが、都市部の光のためにその全ての美しさを見ることは難しいです。
天の川をきちんと観測するためには、市街地から離れて、広い山や野原、農村地帯に出かけることがおすすめされます。
特に夏の時期は、天の川を観測するのに最適な季節と言えます。
8月中旬から下旬の新月の時期は、天の川がよりはっきりと見える最良のチャンスです。
晴れた日の夜、20時から21時の間が天の川観測に向かうのに理想的な時間帯とされています。