これからの季節、特に一部地域でよく目にする「ずいき」についてお話しします。
「ずいき」とその加工品「芋がら」に焦点を当て、次のような内容をご紹介します。
・「ずいき」と「芋がら」について
・里芋の茎の乾燥方法
・乾燥した里芋の茎の保存テクニック
・里芋の茎を使ったおすすめレシピ2つ
これから「ずいき」と「芋がら」の魅力を深く掘り下げていきますので、最後までお付き合いください。
■「ずいき」と「芋がら」、その違いとは?
●「ずいき」と「芋がら」の基礎知識
里芋の茎の皮を剥いで天日で乾燥させると、「ずいき」になります。
この乾燥させたものを「芋がら」と呼びます。
秋に収穫される里芋の葉柄を乾燥させた「ずいき」は、乾燥する前の状態を指し、一般には「芋がら」も「ずいき」として呼ばれることがあります。
また、「割菜」という別名もあります。
●ずいきの種類と特徴
ずいきにはいくつかの種類があり、それぞれアクの量などに特徴があります。
・赤ずいき
赤ずいきは葉柄が赤い品種から作られ、市場ではこの種類が最も一般的です。
別名「紅ずいき」とも呼ばれており、石川県、三重県、新潟県などが主な産地です。
特に石川県の金沢市花園地区や三馬地区、三重県の津市芸濃地区などが有名です。
・白ずいき
白ずいきは、里芋の茎を軟白栽培して作られる品種です。
地域によっては「白ダツ」と呼ばれ、和食の高級食材としても人気があります。
奈良県産の「軟白ずいき」は大和の伝統野菜として知られており、あくが少なく、あっさりした味わいが特徴です。
・青ずいき
青ずいきはハス芋の茎から作られ、鮮やかな緑色が魅力です。
専用種として栽培されるハス芋は、芋の部分ではなく葉柄のみを使用します。
高知県では「りゅうきゅう」、鹿児島県では「トイモガラ」とも呼ばれています。
赤ずいきに比べてアクが少ないため、下処理は簡単で、塩もみして水洗いするだけで大丈夫です。
■家庭での里芋の茎の天日乾燥方法
里芋の茎を家で乾燥させる方法は、冬に向けた準備として多くの地域で行われます。
●自然の日差しを使った天日乾燥
家で天日乾燥するためには、まずずいきを用意しましょう。充分なスペースを確保し、晴れ続きの日を選ぶことが重要です。
・自宅でできる天日干しの里芋の茎(芋がら)の作り方
2. 太い茎や大きいものは半分に切り分けます。
3. 皮を剥いた後、適切な長さにカットし、雨が当たらない場所で天日干しにします。約2週間で十分乾燥します。
●乾燥した里芋の茎の戻し方
乾燥させた里芋の茎を戻す際は、ぬるま湯で30分程度浸しておきます。
浮き上がってきた茎には重しをのせるとよいでしょう。十分戻ったら、もみ洗いをして水気を切ります。
次に、沸騰したお湯で2~3分茹で、冷水にさらします。
この茹でと冷水でのもみ洗いを3回繰り返し、水が茶色くなくなるまで行います。
最後に、きれいな水に30分から1時間浸し、しっかり水気を絞ります。
この工程で、不快な後味が減ります。
■乾燥した里芋の茎の保存法
乾燥した野菜は湿気に弱いため、正しい保存方法が必要です。
●乾燥剤を使用した暗所での保管
乾燥した里芋の茎などの乾物は湿気を吸収しやすく、それがカビの原因となるため、湿気対策は重要です。
使う量を小分けにし、ラップで空気を抜きながら包んでから、乾燥剤を入れたジップロック袋に入れます。
袋の中の空気も可能な限り抜き、保存します。
理想的な保存場所は暗く、涼しく、乾燥した場所です。
特に梅雨時には、冷蔵庫での保存が効果的です。
これにより虫の発生を防ぎ、より安全に保管できます。
■里芋の茎を使ったユニークな料理レシピ2つ
里芋の茎は、煮物や味噌汁といった伝統的な料理でよく使われますが、他のアイディア満載の料理でも美味しく楽しめます。
●里芋の茎の甘酢漬け
里芋の茎はスポンジのような内部構造を持っており、他の野菜よりも味が染み込みやすい特徴があります。
この特徴を利用して、短時間で美味しい甘酢漬けを作ることができます。
・甘酢漬けの作り方
2. 水気を切り、鍋に入れて適量の水を加え、沸騰させた後5〜10分茹でてアクを抜きます。
3. 茹でた後、水で冷やし、水気を絞ってから1cm幅に切ります。
4. 甘酢を用意し、切った里芋の茎を漬け込んで1時間程置いたら完成です。
●サンラータンに里芋の茎をプラス
里芋の茎は和食だけではなく、中華料理にもぴったりです。
・里芋の茎を加えたサンラータンのレシピ
2. 鍋に水とスープの素を加え、強火で煮立てたら、豚肉を加えます。色が変わったら、他の具材も加え、中火で2〜3分煮ます。
3. 味付けにしょうゆ、塩、こしょうを加え、水溶き片栗粉を混ぜ入れてとろみを出します。
4. 卵を溶きほぐして加え、固まったら火を止め、最後に酢を加えます。器に盛り付けて、お好みでラー油をかければ完成です。
■まとめ
この記事では以下の内容を紹介しました。
・里芋の茎を天日で乾燥させると「ずいき」と呼ばれ、これをさらに乾燥させると「芋がら」になります。
・「ずいき」には「赤ずいき」「白ずいき」「青ずいき」などの種類があり、それぞれアクの量が異なります。
・自家製の場合、適切な場所と天気を選び、しっかりと天日干しを行います。
・戻す際は、水に漬けてから茹でることでアクを抜きます。
・保存は、ラップで空気を抜きながら包み、乾燥剤を入れたジップ付きの袋で暗所に保管します。
・里芋の茎は、和食だけでなく中華料理のスープなどにも適しています。