蕎麦屋でメニューを見ていると、せいろ蕎麦とざる蕎麦の選択肢が目につくことがありますね。
これらの違いについて気になったことはありませんか?
多くの人が疑問に思うこの点には、実は非常にシンプルな答えが存在します。
それは使用される器の違いです。
思わず「え、それだけ?」と驚くほど簡単な答えかもしれません。
本記事では、ざる蕎麦とせいろ蕎麦、そしてもり蕎麦の違いに焦点を当て、詳しく解説していきます。
◇ざる蕎麦とせいろ蕎麦のシンプルな違いとその背景にある歴史
ざる蕎麦とせいろ蕎麦の違いは、蕎麦の長い歴史に由来しています。
ここではその歴史に触れてみましょう。
蕎麦は縄文時代から存在し、当初は粉末状にして「そばがき」などとして食されていました。
麺としての蕎麦が広まったのは江戸時代になってからです。
この時期から、天ぷらそば、きつねそば、月見そば、カレー南蛮そばなど、多彩な蕎麦料理が登場しました。
さて、ざる蕎麦とせいろ蕎麦の主な違いを見てみましょう。
これらの違いは江戸時代にさかのぼります。
初期の江戸時代では、蕎麦はせいろで蒸されて提供されることが一般的でした。
当時は蕎麦がもろく、茹でるのが困難だったため、蒸し蕎麦が主流でした。
しかし、後に小麦粉が加わることで、蕎麦は茹でても破れにくくなり、次第にお椀や皿での提供が一般的になりました。
しかし、皿に盛ると蕎麦の水分が底に溜まり、美味しく食べられなくなる問題がありました。
これを解決するために、「伊勢屋」という蕎麦屋が水切りの良いざるを使用して蕎麦を提供し始め、これがざる蕎麦の起源となりました。
江戸時代が終わる頃には、蕎麦の価格が上がり、量を減らさざるを得なくなった蕎麦屋は、せいろに盛ることで見た目のボリュームを保つようになりました。
これがせいろ蕎麦として定着しました。
今では、具がない蕎麦ではざる蕎麦とせいろ蕎麦が似ていると感じられるかもしれませんが、それぞれにこのような歴史的背景があるのです。
◇もり蕎麦、ざる蕎麦、せいろ蕎麦の違いについて
ざる蕎麦とせいろ蕎麦とは異なる、もう一つの蕎麦のスタイルとして「もり蕎麦」がありますが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
この点を理解するためには、蕎麦の歴史を少し遡る必要があります。
蕎麦は元々つゆに浸して食べるスタイルが一般的でしたが、江戸時代になると、蕎麦に直接つゆをかけて手軽に食べられる「かけ蕎麦」が登場し、瞬く間に人気を集めました。
この流れを受けて、従来のつゆに浸して食べる蕎麦は「もり蕎麦」として改めて命名され、提供されるようになりました。
もり蕎麦は通常、お椀や深い皿に盛られるため、底部に水分が溜まり、食べ終わる頃には味が落ちるという問題がありました。
これを解消するために、水切りがしやすい「ざる蕎麦」が開発されました。
時が経つにつれて、ざる蕎麦はその独自の価値を築き、もり蕎麦よりも上質な蕎麦として扱われるようになりました。
蕎麦屋では、ざる蕎麦に海苔をトッピングするなど、さらなる味の差別化が図られました。
現代では、もり蕎麦とざる蕎麦の主な違いは、海苔の有無とされており、調理や提供の手間を省くために、このような単純な区分けがなされています。
また、一部の店舗では、せいろの上にざるを置いて「ざる蕎麦」や「もり蕎麦」と称することで、この二つの区別が曖昧になっていることもあります。
◇まとめ
せいろ蕎麦とざる蕎麦、さらにもり蕎麦の特徴について説明しました。
せいろ蕎麦とざる蕎麦の主な違いは、使用する器が「せいろ」なのか「ざる」なのかにあります。
どちらも中身は同じ蕎麦であるため、意外に思われるかもしれません。
また、ざる蕎麦ともり蕎麦の違いは、ざる蕎麦には海苔がトッピングされているのに対し、もり蕎麦には海苔が使われていないという点です。
この情報が、蕎麦屋でのメニュー選びを少しでもスムーズにする手助けになれば幸いです!