多くの人が子供時代に「晴れるといいね!」と願いを込めて、履いていた靴を空高く投げて、その着地の様子から翌日の天気を予測したことがあるでしょう。地域や世代によっては、靴の代わりに下駄を使用することもあります。
この記事では、そのようなユニークな天気予測法の正式な名称と、具体的な実践方法についてご紹介します。
◇風変わりな天気予測の方法とは?
正式な名前は確定していませんが、
・下駄を使用した天気予測法を「下駄占い(げたうらない)」
と呼びます。
また、これらの方法は
・「天気占い(てんきうらない)」
とも称されています。
◇天気占いの起源とそのユニークさについて
「下駄占い」や「靴飛ばし」といった天気占いの起源や由来には、複数の説が存在しますが、詳細は明らかになっていません。
この種の風習が海外にも見られるかどうかについて調査しましたが、具体的な情報は発見できず、これらが日本独自の文化である可能性が高いと思われます。
◯神事が起源とされる説
どの時代から始まったかは特定できませんが、「雨乞い(あまごい)」や「日乞い(ひごい)」といった神事が民間に広まり、日常の風習として定着した可能性があります。
雨乞いは、長期間晴れが続く時に雨を願う儀式で、日乞いは長雨の後に晴れ間を求める儀式です。
これらの儀式が具体的にどのように行われていたのかは文献には残されておらず、詳細は不明ですが、履物や下駄が用いられた可能性が示唆されています。
◯高下駄が天気占いの起源とされる説
平安時代(794年~1185年)に、悪天候時に足が泥に沈まないように使用されていた「高下駄(たかげた・歯の高い下駄)」は、「足駄(あしだ)」とも呼ばれていました。その名前を「明日(あした)」と掛け合わせ、「明日は晴れてほしい」という願いが込められたことから、天気を占う習慣が生まれたとされる説があります。
どのようにして願いを込めたのか、また現代と同じように遠くに投げて占っていたのかは明らかではありませんが、足駄が未来の天気を予測するために使われていたと考えられています。
◯子どもの遊びが天気占いの起源という説
明治時代まで主流だった草履に代わり、大正時代から昭和初期にかけて下駄が広く普及しました。この時期、子どもたちの間で下駄を蹴り飛ばす遊びが流行り始めました。この遊びが徐々に発展し、翌日の天気を予測する「下駄占い」として定着するようになりました。
戦後、靴が一般的な履物となるにつれ、「下駄占い」はさらに進化して「靴飛ばし」と呼ばれるようになったとされています。
◇伝統的な天気予測方法
「下駄占い」と「靴飛ばし」の具体的なやり方は以下のようになります。
①履物を飛ばす
履いている片方の靴や下駄を、「明日天気になあれ」という言葉を唱えながら蹴り上げて遠くに飛ばします。靴や下駄はつま先にかけるように軽く履いて、より遠くに飛ばせるようにします。
投げる際に使う言葉は地域や年代によって異なりますが、以下のような呪文が一般的です。
・「雨か天気か雪、霜か」
・「明日、雨か日和か、天行て問うて来い」
・「雨か日和か、提灯か」
・「明日の天気はどうじゃ、雨か日和か、もう一度」
②履物の位置から天気を予測する
地面に落下した靴や下駄の向きから翌日の天気を予測します。
一般的に次の3つのパターンがあります。
● 靴や下駄が横向き(靴や下駄が横に倒れている場合):曇りが可能性として高いです。
● 靴や下駄が下向き(靴底や下駄の歯が上を向いている場合):雨が予想されます(地域によっては雪や風の可能性もあります)。
また、「靴を飛ばす遊び」といえば、「ブランコ靴飛ばし」という遊びも人気です。この遊びは、ブランコに乗りながら勢いをつけて片方の靴を蹴り飛ばし、その飛距離を競います。
「ブランコ靴飛ばし」は単に距離を競うだけでなく、天気予測の「靴飛ばし」と同様に、飛ばした靴を使って翌日の天気を占うことも行われます。
子どもたちの間で行われるため、ルールは固定されておらず、遊び方には次のようなバリエーションが存在します。
● 飛距離に関係なく天気を占う
● 最も遠くに飛んだ靴で天気を占う
これらの遊びが、子どもたちにとって創造性を育む機会となっています。
◇おわりに
「明日は遠足だから晴れてほしい」や「運動会が晴れますように」といった願いを込めて、特別なイベントの前夜に靴飛ばしで天気を占う人は少なくないでしょう。望む結果が得られない時には、何度も何度も投げ直して試みることもあります。
靴飛ばしや下駄占いに科学的な根拠はないものの、これらは子どもたちの遊びとして楽しまれ、将来にわたって受け継がれていくでしょう。