還暦と厄年が同時に訪れる場合、お祝いをするべきかどうか疑問に思いますよね?
還暦の祝い方や厄年の厄落としの方法、どちらを優先すべきか悩むこともあると思います。
さらに、厄落としにはどのようなマナーが必要なのかも気になるところです。
そんな疑問を解消するため、今回は厄年と重なる還暦のお祝いについて、詳しく調べてみました。
■還暦と厄年が同時に訪れる、お祝いは行うべき?
初めに結論から申し上げますと、還暦のお祝いが厄を払う役割を持つため、お祝いを進めることをお勧めします。
では、なぜ還暦のお祝いが厄を払う役割を持つのか、その背景を詳しく解説します。
●還暦と厄年、それぞれの定義は?
還暦とは、十干十二支が生まれた年と同じになる、つまり干支が一巡する60歳(満年齢)のことを指します。
一方、厄年とは、災いに遭いやすいとされる特定の年齢のことで、男性の場合は数え年で25歳、42歳、61歳が本厄とされています。
数え年は満年齢に1歳を足すので、厄年の61歳は還暦の60歳と一致します。
つまり還暦と厄年が同時に訪れるのです。
女性の厄年は19歳、33歳、37歳とされていますが、地域や神社によっては女性も61歳を厄年とすることがあります。
今回のお話では、男女ともに61歳を厄年としています。
●還暦は「祝われる」のではなく、「行う」ものだった
現代では、還暦を迎える人の親族や友人がお祝いの会を開くのが普通です。
しかし、過去には、還暦を迎える人自身がお祝いの場を設けるのが一般的でした。
還暦と厄年が同時に訪れることから、本人が主催することで「厄」を周囲の人々に分散させるという意味があったとされています。
これを「還暦振る舞い」と呼び、「還暦振る舞い」は「厄払い」や「厄落とし」と同じ意味を持つとされていました。
●還暦祝いがメインストリームになった背景
以前に触れたように地域や神社によっては、男性だけが61歳を厄年とし、一方、女性は還暦祝いと厄年が一致しない場所もありました。
このため、男女で祝い方に違いが出ていました。
しかし、男女平等の考え方が広まるにつれて、現在では性別に関わらず「還暦祝い」を行う場所が一般化してきました。
さらに、還暦祝いには厄払いの意味も含まれ、還暦祝いを行うことで厄年を迎えることを避けられるとされています。
■還暦祝いで赤いちゃんちゃんこをプレゼントする由来
前述した通り、還暦は生まれた年の干支が一周するという意味があります。
そのため、赤ちゃんの時と同じ干支に戻ることから、暦が還る=還暦と名付けられたのです。
かつては現在とは異なり、多くの赤ちゃんが生まれてすぐに亡くなったり、人々の寿命が短く、60歳まで生きることは稀でした。
そこから、「赤」のアイテムが厄除けとして赤ちゃんに与えられる風習が生まれました。
その中でもちゃんちゃんこは、袖がなく赤ちゃんが動きやすく、親が面倒を見やすい上に防寒にもなるため、愛用されていました。
その結果、赤いちゃんちゃんこを着用する赤ちゃんが多かったのです。
還暦祝いでは、この風習を引き継ぎ、生まれ変わった赤ちゃんとして第二の人生を歩む人々に、厄除けの意味を込めて赤いちゃんちゃんこを贈るのです。
還暦「祝い」が厄除けとなるのは、この赤いちゃんちゃんこのおかげとも言えるでしょう。
■還暦を祝う際の厄払いの方法!
還暦の厄払いについては、主に2つの手法があります。
①還暦祝いを通じた厄払い
還暦の祝いとして赤いちゃんちゃんこや赤い頭巾、赤い座布団を贈ることで、厄を払うことができます。
しかし、最近では60歳でも活力に満ちた人が増えており、赤いちゃんちゃんこや頭巾に対して抵抗感を感じる人も増えています。
そのため、赤い花束や普段使いのコップ、洋服など、ちゃんちゃんこにこだわらずに、本人の希望に合った赤いアイテムを選ぶという選択が増えています。
②神社や寺で「年祝い」を行う
「年祝い」は、還暦をスタートとする長寿祝いを指します。
70歳の古希、77歳の喜寿など、年齢に応じて神社や寺で祓いを受けます。
還暦の厄払いは、「年祝い」を通じて行うことが可能です。
■厄払いのために知っておくべき礼儀作法
神社や寺での厄払いの際に、何に注意すればよいか、詳しくお伝えします。
以下に、厄払いの際の重要な礼儀作法をご紹介いたします。
●基本的には予約は不要ですが…
厄払いは神社や寺で行われますが、基本的には事前の予約は必要ありません。
しかし、特に厄払いで有名な神社や寺では、事前の予約が必要な場合もあります。
訪れる予定の神社や寺について、予約が必要かどうかを事前に確認しておくと良いでしょう。
また、厄払いの時間帯は神社や寺により異なりますので、事前に時間帯についても確認しておくことをお勧めします。
●服装は場の雰囲気に合わせましょう
厄払いの際には、本殿や本堂に参拝します。
それは神様や仏様の前で行う行事ですので、日常のカジュアルな服装よりも、男性は礼服やスーツ、女性も礼服やスーツ、またはワンピースが適切と言えるでしょう。
もしフォーマルな服装が用意できない場合でも、静かな色調の服装を選びましょう。
派手なプリントや露出が多い服装は避け、カジュアルなTシャツやミニスカートは控えるべきです。
また、靴を脱ぐ場合もあるため、素足にならないように靴下やストッキングをはくことを忘れないようにしましょう。
神社や寺によっては服装に特定のルールがある場合もありますので、事前に確認しておくことをお勧めします。
●祈祷する際の礼金の準備方法
祈祷の際に贈る礼金は、一般には初穂料と呼ばれ、これは神社で行う厄払いの祈祷に感謝の意を示すために提供されます。
仏教寺院では、この祈祷の礼金のことを御祈禱料と呼びます。
初穂料や御祈禱料の金額は、神社や寺により異なることがありますが、通常は5,000~10,000円が目安とされています。
その際、直接現金を手渡すのではなく、祝い事用の封筒に入れて提供するのが一般的なマナーです。
封筒の表面には「初穂料」や「御祈禱料」と記載し、その下に祈祷を受ける人の名前を書き加えてください。
■厄払いを受ける最適なタイミングとは?
厄払いは新年の始まりに行われることが多いですが、それが必ずしも絶対的なルールではありません。
都合が合わない場合は、後日都合の良い時期に行っても問題ないです。
ただし、時期を遅らせると厄払いの効果が薄れる可能性があるため、できるだけ早めに受けることをおすすめします。
一般的には節分までに厄払いを受けると良いと言われています。
節分は旧暦の新年に相当し、その時期までに厄払いを終えるという考え方が一般的です。
■まとめ
還暦の年には厄年が重なることがあるのですが、そのような厄を追い払うためにはお祝いを行うことが効果的です。
還暦の祝いの方法については、自宅で家族と共に食事を楽しむ、レストランや料理店で特別な食事をする、旅行に出かけるなど、いろいろな選択肢があります。
どの方法を選んでも全く問題ないのです。
赤いちゃんちゃんこを着る、または赤い帽子をかぶる、あるいは赤いアイテムをプレゼントされるなどすることで、厄を追い払うことができます。
さらに安心感を得たい方には、神社や寺で年祈祷を受けることをおすすめします。
料金はだいたい5,000~10,000円程度で、普通は事前予約なしで当日に受けることができます。
ただし、確実に事を進めるためには、公式ウェブサイトなどで事前に確認しておくことがおすすめです。