漬物は我々の日常の食事やお酒のお供には欠かせません。
インターネット上では、「消費期限は5日から7日」や「賞味期限は30日から180日」などの情報が一般的になっています。
しかし、漬物には「消費期限2日」や「賞味期限6日」など、短期間で消費しきらなければならないものも存在します。
漬物屋で購入する際に、漬物の各種の賞味期限や保存方法について説明を受けた経験がある方もいるかもしれません。
漬け込みや発酵の方法により、味わいだけでなく、その賞味期限や消費期限も異なるのです。
近年は、適量の塩分を含む食品や化学添加物の少ない食品が消費者から求められており、それは伝統的な保存食である漬物にも同じことが言えます。
ところが、「漬物は保存食だから決して腐らない」という考え方は、実は誤解であるようです。
■漬物の消費期限はいつなのか？
漬物には、その種類ごとに異なる「賞味期限」または「消費期限」が設定されています。
そのため、保存できる期間の長さは商品ごとに異なり、詳細は各商品のラベルを注意して確認してください。
●賞味期限と消費期限の違い
賞味期限とはその商品が最も美味しくいただける期間の最後の日を指します。
商品を開封せず、指示に従って保存していた場合、これまでの「日付」が「良い品質で美味しく食べられる」最終日を表すものです。
なお、製造から賞味期限まで3か月以上ある商品は年月表示が可能ですが、この期限を過ぎても必ずしも食べることができないわけではありません。
一方、消費期限はその商品が安全に消費できる最後の日を示します。
製品のパックや容器を開けず、指定された方法で保存していた場合、この「日付」が「安全に食べられる」最終日となります。期限が過ぎたものは食べないようにしましょう。
■食品に消費期限と賞味期限がある理由は何か？
食品のラベルを見ると、’消費期限’と’賞味期限’という二つの項目が見られます。
製造日から大体5日以内に品質が大きく低下する食品には「消費期限」が設けられ、5日以上の保存が可能な食品には「賞味期限」が示されます。
消費期限のついた食品は腐るのが早いため、期限内に食べることが推奨されています。
例えば漬物について、消費期限と賞味期限の違いを詳しく見てみましょう。
消費期限は以下のようなものに適用されます。
・ただ調味液に浸けているもの
・食品添加物を用いていないもの
・プラスチック容器やパックだけで包装されているもの
・スーパーや惣菜店でバルク販売されているもの
一方、賞味期限は以下のようなものに当てはまります。
・発酵バクテリアが含まれているもの
・食品添加物が使用されているもの
・パックに入れられ、加熱殺菌されているもの
・商品棚に並べられているもの
酸味が薄い浅漬け用の調味液は市販されており、自宅でも簡単に漬物が作れます。
浅漬けは他の漬物とは異なり、生の野菜に近い特性があるため保存期間は短いです。
製造者によってはpHを調整したり、保存料を使って安心して長期間食べられるよう工夫しています。
しかしながら、乳酸発酵する浅漬けは一部しか見られません。
自宅で作る浅漬けや、惣菜コーナーで購入できる浅漬けの保存期間は短いのが普通です。
特に自家製のものは、冷蔵保存でも2日以内に食べることを推奨します。
■漬物の賞味期限が過ぎたら、いつまで安全に食べられるのでしょうか？
食品の賞味期限が過ぎたからといって、すぐに食べられなくなるわけではないのが一般的です。
そのため、食品がまだ食べられるかどうかは、個々の消費者が判断することが求められます。
「賞味期限」を過ぎた食品は、ある程度の期間は食べられます。
しかし、「消費期限」を過ぎたものは、1日でも期限が過ぎたら食べるのは避けるべきです。
期限の設定は様々な試験（微生物試験、理化学試験、官能試験など）を経て、製造元（または輸入業者）が決定します。
商品は一般的に「実際の期限」よりも余裕を持って販売されます。
これは特定の安全係数（商品や製造元によって異なりますが、通常は0.7～0.8）を適用した日数や時間が期限として設定されているからです。
これを考えれば、賞味期限が1.1～1.3倍経過したとしても、まだ食べられる期間内にあると考えることができ、比較的に安全とも言えます。
ただし、賞味期限を1.3倍以上経過したらすぐに食べられないとは限りません。
漬物がまだ食べられるか、あるいは腐敗しているかどうかを判断するうえで重視すべき点は次のとおりです。
香り（異臭や酸っぱさ）、粘性（スライム状）、カビ（白く綿毛のようなもの）、風味（過度な酸味や苦味）。
これらのうち一つでも該当する場合は、食べずに廃棄するべきです。
■なぜ漬け物はすぐに腐るのか？その原因を深掘り！
漬け物が腐る原因は何なのでしょうか？漬け物の発酵過程は、私たちの体に良い影響を与える微生物によって支配されています。
でも、これらの有益なバクテリアの働きが不純な細菌によって邪魔されると、漬け物は腐ってしまいます。
これらの細菌は、空気中や水、人の手など、至る所に存在し、漬け物に付着するとそこから栄養を摂取し、増殖します。
そして中には、腐敗を引き起こすだけでなく食中毒をもたらす可能性がある不純な細菌もあるので、注意が必要です。
そのため、売り物としての漬け物は、製造過程での衛生管理に加えて、野菜の熱処理、塩分やpHの厳重な管理、水分調整、そしてパッケージしたときのエアーリーク防止など、市場に出るまでの様々なステップが必要となります。
商品が消費者に届いた後も、適切な保存が必須です。管理方法を遵守せず、またはパッケージを一度開けてしまうと、細菌が増殖しやすくなり、腐敗までの時間が大幅に短くなります。
特に、手作りの漬け物は細菌の除去が不完全なこともあるため、購入したものよりも早めに食べることがおすすめです。
このように、漬け物が腐るメカニズムを理解することで、適切な管理方法や賞味期限の重要性が分かるでしょう。
■自家製漬物の保存期限とは？
自家製漬物の保存期限について正確にはどれぐらいなのでしょう？
今日では、浅漬けの素や米ぬかを使って自宅で手軽に漬物を作ることができます。しかし、自作品の保存期限については気になるところです。
大体の目安として、作った後は1週間から10日以内に食べることがおすすめです。
ぬか漬けの場合、一度ぬか床から取り出すとすぐに鮮度が落ち、時間と共に風味も失われてしまいます。
そのため、取り出したら24時間以内に、そして最長ても2〜3日以内に食べ切ることを推奨します。塩分が多いと長持ちしますが、味がしょっぱくなります。
一年以上もの保存が可能と言われるたくあんも、ぬか床から出すとぬか漬けと同じく、保存期間は大きく短くなります。
浅漬けの場合は基本的に2日以内が目安です。塩を少なくすると、漬物の水分が増え、それが腐敗の原因になります。
また、自家製の漬物には保存料が加えられていないため、注意が必要です。
この点を見落とすと、思いの外速く腐ってしまいます。
自家製の場合、調理過程での衛生管理を怠ると問題が起こり得ます、そのため可能な限り早く飲食することが望ましいです。
保存期間を過信せず、都度、腐敗していないか確認することが大切です。
■保存のコツがすぐわかる！漬物の扱い方
漬物の保管方法について詳しく解説します。
漬物種類によって保存方法が分かれますが、液体との接触を避けることが基本的な保存法となります。
ぬか床から取り出した品：包装フィルムで梱包後、タッパーに入れる。
手軽に漬けたもの：調味液に浸けて保存。
開封後は、糠漬けや真空パッケージであっても、冷蔵がベストです。暖かい環境では雑菌が繁殖しやすいのです。
雑菌の増殖は温度、水分、酸素、栄養素が揃うと加速します。塩分が豊富な漬物は、湿度を抑え、雑菌の繁殖を防ぐので保存に適しています。
しかし、一般的な漬物は、塩分が少なく、漬け込む時間が短いため、冷蔵が必須です。未開封であれば、そのまま冷蔵庫に置くだけで大丈夫です。
開封後は容器に移し、液体と接触しないようにしてから冷蔵庫で保存してください。
「冷凍すればより長持ちするのでは？」と思うかもしれませんが、漬物の冷凍は推奨されません。
漬物に使われるキュウリやナスなどの多湿食材は、冷凍すると食感が損なわれます。
大量に保存する必要がある場合は、水分をしっかりとひき、保存袋に入れて空気を抜いてから冷凍してください。
解凍は冷蔵庫で自然解凍するか、室内で解凍してください。
自宅で漬物を作る際も、漬ける方法が大切です。特に夏場は腐りやすいので、漬物の量を少しずつ増やすと良いでしょう。
塩分が10％以上だと腐敗菌の繁殖を防ぎ、長期保存が可能になります。
小さな容器で漬物を作る時は、冷蔵庫に入れるか、部屋で保存する場合は容器の上下にクールシートを置いて冷やすと、カビが生えにくくなります。
塩分が低い漬物には、アルコールや酸を加えると保存期間が延びます。
ただし、何でも適量です。味が変わりすぎないように、これは最終手段と考えてください。
■まとめ
・漬物の最適な賞味期限は、その期限が過ぎても味に影響はあるものの無害である（消費期限の1.1～1.3倍までは許容範囲となる）。
・期限を超えてからの日数が増えると、摂取することは推奨されない。
・自家製の漬物で、発酵を用いたものは約1週間～10日以内が良い。無発酵のもの（浅漬けなど）は大体2日程度が適している。
・保存方法としては、酸化防止のために冷蔵が推奨される。
ぬか漬けの場合は、ラップでしっかりと覆い、そしてタッパーに保管すると良い。
浅漬けの場合は調味液に浸けて保存する。
ただし、冷凍保存はあまり推奨されておらず、もし冷凍保存をする場合は水分をできる限り取り除くべきです。
以上のことはすべて未開封の漬物を前提としているので、一度開けたら早めに食べきるようにしましょう。
使用する食材は、各々の指定された方法で保存することが必要です。
そして、一度開封した場合は、期限にかかわらずできるだけ早く食べることが最も良い方法です。
いかがでしょうか？
それでは、漬物を安心して楽しんでください！
