猫が喉から出すゴロゴロという魅力的な音に、心を奪われたことはありますか？
猫がこの音を出しながら寝ている姿は、とても愛らしく、見ているだけでほほ笑みがこぼれます。
実は、このゴロゴロ音には猫の感情が込められています。
この記事では、猫がどうして寝るときにゴロゴロ音を出すのか、その理由を詳しく解説します。
さらに、ゴロゴロ音が持つ別の意味や、この音が人間に与える影響についても探ります。
猫の行動に関心がある方は、ぜひお読みください。
■猫がゴロゴロと鳴く理由：3つの主な原因
猫が寝る時にゴロゴロ音を出す理由には、以下のような状況が考えられます。
・体調が悪い時や痛みを感じている時
・ストレスを感じている時
・周囲に対して警戒している時
・リラックスしている時
・夢を見ている時
次の章では、これらの理由を詳しく解説します。
●苦痛やストレスを感じている時
猫が病気や風邪などで体調が悪い時や、ストレスを抱えている時には、ゴロゴロという音を立てて寝ることがあります。
病気や高齢の猫がこのような行動をする時は、何かしらの不調を訴えていることが考えられます。
猫が快適そうに寝ているときでも、ゴロゴロ音が聞こえる時は、その後の様子に注意することが大切です。
元気がない、食欲が減っているなどのサインがあれば、動物病院で診てもらうことをおすすめします。
また、猫は病気だけでなく、ストレスを感じている時にも同じような行動を取ることがあります。
飼い主や周囲の環境によるストレスが原因かもしれないので、猫との距離感を見直すことも一つの方法です。
●猫が警戒しながら浅く眠るとき
猫は本能的に警戒心が強く、しばしば浅い眠りをしながら周囲を注意深く見守ります。
何か異常が起きた場合、すぐに対応できるように、常に警戒しています。
もし猫が静かに深く眠っているときは、それは猫が完全にリラックスしている証拠です。
新しい環境にいる猫の場合、その場所に徐々に慣れさせることが特に重要です。
●リラックスしているときの猫のゴロゴロ音と寝言
猫が快適にリラックスしているときは、よくゴロゴロ音を立てながら寝ます。
これには以下のような理由があります。
・眠りにつく直前やリラックスしている浅い眠りのとき
・飼い主が近くにいて安心しているとき
・飼い主からの愛撫で心地よく感じているとき
深い眠りのときにゴロゴロ音を出しながら寝言を言うこともあります。
飼い主との関係が良好で、健康な猫の場合、これはリラックスしているか寝言を言っていることが多いです。
猫がゴロゴロと寝ているときは、その姿を穏やかに見守りましょう。
■猫のゴロゴロ音を聞き分ける3つのポイント
猫が出す様々なゴロゴロ音には、それぞれ異なる意味が込められています。
ここで、それらを聞き分ける3つのポイントを紹介します。
●甘えているときのゴロゴロ音
猫が甘えたいときに出すゴロゴロ音は、通常、低音から中低音で表れます。
母猫と子猫のコミュニケーションでは、この音がお互いの存在や安全を伝えるのに使われます。
あなたの猫がゴロゴロと音を出しながらすり寄ってくるときは、あなたに対する信頼と甘えのサインです。
甘えのゴロゴロ音が聞こえなくても、信頼していないわけではないので心配無用です。
聞き分けポイント：
・飼い主の近くに寄ってきてスリスリする
・お腹を見せる
・目を細めている
・前足を踏みしめている
対処法のおすすめ：
おもちゃで遊んだり、首周り、背中、額など猫が好む場所を撫でてあげましょう。
猫がリラックスしている時のゴロゴロ音が聞こえたら、飼い主も一緒にリラックスすることが大切です。
これにより、猫もより幸せな気持ちになるでしょう。
●苦痛やストレス時の低いゴロゴロ音
猫が苦しさやストレスを感じているときは、甘えるときよりも低い音でゴロゴロと鳴くことがあります。
このような場合に考えられる状況は以下の通りです。
・体調不良や病気、風邪など
・怪我をして痛みを感じている場合
・出産時
・緊張や不安を感じているとき
低い音のゴロゴロは、猫が自分自身を落ち着かせたり、緊張を和らげたりするための行動とされています。
もし猫が普段と異なる行動を見せる場合は、動物病院での検査をお勧めします。
聞き分けポイント：
・不機嫌そうに毛を逆立てている
・近づくと威嚇する様子
・猫が嫌がることをしようとしている時（爪切りやシャンプーなど）
対処法のおすすめ：
猫が苦しそうであったり、ストレスを感じているような場合は、無理に近づかないで様子を見ましょう。
強引に触れようとすると、噛まれたり引っ掻かれたりする恐れがあります。
早めに獣医師に相談することが大切です。
元気がない、食欲が落ちているなど、普段と違う様子が見られたら、体調不良の可能性があります。
●何かを訴える高音のゴロゴロ音
猫が何かを訴えようとしている時のゴロゴロ音は、高音であることが多いです。
この高いゴロゴロ音は、飼い主に緊急性を感じさせたり、不安を抱かせたりすることがありますが、それはゴロゴロ音の特有の周波数によるものです。
何かを訴える時のゴロゴロ音は、人間の赤ちゃんの泣き声に似た周波数を持っていると言われています。
聞き分けポイント：
・高音のゴロゴロ音を出しながら、食事の器の前にいる
・トイレの前でゴロゴロ音を出している
・じっと見つめてくる
対処法のおすすめ：
猫が何かを要求している時は、可能な限りその要求に応えてあげましょう。
食事の器の前でゴロゴロしていればご飯をあげ、トイレの前なら掃除をしてあげるなど、猫のニーズに対応することが重要です。
猫の気持ちを汲み取り、応えることで、猫も喜びを感じるでしょう。
■猫のゴロゴロ音の仕組みと人間への影響
猫が出すゴロゴロ音は、普通の鳴き声とは異なり、その生成源ははっきりしていません。
猫がどのようにしてゴロゴロ音を作り出しているのか、そのメカニズムとそれが人間に与える影響について解説します。
●ゴロゴロ音の発生に関する3つの主な理論
猫がゴロゴロ音をどのようにして発生させているかについては、完全には解明されていないものの、いくつかの理論が提唱されています。
以下で、その3つの主な理論を紹介します。
理論1：声帯振動によるゴロゴロ音
最も広く支持されているのは、猫が喉の筋肉を使って声帯を振動させることでゴロゴロ音を発生させているという理論です。
この振動が特有の低い音を生み出します。
理論2：専用の仮声帯でのゴロゴロ音生成
猫には「ニャー」という通常の声を出すための声帯がある一方で、ゴロゴロ音を出す専用の仮声帯があるという考え方もあります。
この仮声帯を使って「ニャー」と「ゴロゴロ」を使い分けているとされています。
理論3：大静脈の血流による振動
この理論では、喉元を流れる大静脈の血流が増加すると、血液が渦を巻き低い音を発するとされています。
この音は横隔膜によって増幅され、ゴロゴロ音になると考えられています。
これらの理論はいずれもまだ確証されていないため、猫のゴロゴロ音の詳細なメカニズムは依然として謎のままです。
●猫のゴロゴロ音が人間に幸せを感じさせる理由
猫のゴロゴロ音には、人間に安心感を与えたり、緊張を和らげたりする効果があります。
この音の周波数は約25ヘルツとされ、この低周波はセロトニン、いわゆる「幸せホルモン」の分泌を促すと言われています。
セロトニンとは：
セロトニンは神経伝達物質の一種で、幸福感を感じさせる働きがあります。
このため「幸せホルモン」とも呼ばれます。
【作用】脳の興奮状態を抑え、心身をリラックスさせる。
【不足時の影響】心理的に不安定になり、イライラ感やうつ病、パニック障害を引き起こしやすくなる。
猫のゴロゴロ音は、自律神経やホルモンバランスを整える効果があり、特に女性にとっては、ホルモンバランスが乱れる生理期にリラックス効果をもたらします。
フランスでは、「ゴロゴロセラピー」という、セロトニンの分泌促進や怪我の治療にゴロゴロ音を利用する治療法やリラクゼーション法が行われています。
■まとめ
・猫のゴロゴロ音を出す理由は、大きく分けて3つあります：①苦痛やストレスを感じている時、②浅い眠りの時、③リラックスしているか寝言を言っている時。
・猫が普段と違う行動を見せたり元気がない場合は、獣医の診察が必要です。
・猫のゴロゴロ音にはいくつかの意味があり、音の高さでそれぞれの意味が異なります：①甘えている時は中低音、②苦しい時は低音、③何かを訴えている時は高音で、この高音は人間の赤ちゃんの泣き声と同じ周波数です。
・猫のゴロゴロ音の生成メカニズムはまだ完全には解明されておらず、声帯の振動、専用の声帯、血流の音などの複数の理論があります。
・猫のゴロゴロ音はセロトニンの分泌を促し、怪我の治療にも効果があり、人間にプラスの影響をもたらします。
猫がゴロゴロ音を出す時は、リラックスしていることもあれば、体調が悪いか警戒していることもあります。
ゴロゴロ音の高さを聞き分けることで、猫の気持ちや状態を理解することができます。
猫とのコミュニケーションを大切にしましょう。
